脳卒中とは

突然生じた脳の血管の血流障害によって、急に手足がしびれたれたり動かなくなったり、言葉が話せなくなったり、あるいは意識がなくなったりする発作を“脳卒中”と言います。死亡率が高く、突然死にいたる危険性が大きい病気です。

 

脳卒中は、脳の血管が詰まる“脳梗塞”脳の細い血管が裂けて脳の組織の中に血腫(出血の固まり)をつくる“脳出血”。さらに脳の太い血管にできた脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)が避けて脳の表面に出血する“くも膜下出血”に分類できます。

脳卒中

脳を養う血管が詰まるタイプ

脳梗塞の“前触れ”  一過性脳虚血発作

この発作は、脳の一部の血液の流れが一時的に悪くなることで24時間以内(多くは数分から数十分)に回復するものです。
脳梗塞の前触れ発作とも言われ、一時的に片方の目が見えなくなったり、ろれつがまわらない、半身がいうことをきかなくなるなどの症状が起こります。
一時的に血管が詰まり、症状が現れますが、脳組織が破壊される前に血液の流れがよくなるために脳組織が元の機能を回復し、症状も消失します。

一過性脳虚血発作後、速やかに病院を受診し、検査・治療を始めることにより、その後の脳梗塞発症の危険を減らせます。一過性脳虚血発作は脳梗塞の重要な「前触れ発作」「警告発作」であり、早期受診、早期治療が必要な緊急疾患です。

 

脳梗塞(脳卒中死亡の60%以上を占めます)

動脈硬化などのために動脈が狭くなったり、あるいは動脈や心臓内にできた血の固まり(血栓)が脳の動脈に流れ込み詰まってしまうために起こるもので、その血管によって酸素や栄養を受けている部分の脳組織に血液がいかなくなり破壊されて、脳の軟化を起こします。
突然、発症するもの、段階的に増悪するものなど、症状により様々ですが、多くの場合、前ぶれの症状としてめまい、頭痛、舌のもつれ、手足のしびれ、半身マヒや昏睡などになります。

脳梗塞には、次の3種類があります。

「ラクナ梗塞」・・・ 脳の細い血管に動脈硬化が起こり、詰まってしまうものです。

「アテローム血栓性梗塞」・・・ 脳の太い血管の内側にドロドロのコレステロールの固まりができ、そこに血小板が集まって動脈を塞ぐものです。

「心原性脳塞栓症」・・・ 心臓にできた血栓が流れてきて脳の血管を塞ぐものです。心臓病患者は要注意が必要です。

 

脳の中の細い血管が破れて出血し、神経細胞が死んでしまうタイプ

脳出血(脳卒中死亡の約25%)

脳の血管が破れて出血を起こすと、多くの場合深い昏睡とともに半身のマヒが起こります。高血圧や年をとって血管が弱くなり、血管が破れることが原因となる場合が多いと言われています。
日中、活動しているときに、頭痛やめまい、半身マヒ、意識障害などが起こることがあります。また、高血圧が慢性的に続いていると、血管の一部がふくらんでコブのようなものがいくつもでき、さらに高血圧の強い圧力が加わると、その一部が破裂して脳組織に広がり、出血となって脳障害と起こします。

 

くも膜下出血(脳卒中死亡の約10%強)

脳は、3層の膜(内側から、軟膜、くも膜、硬膜)で被われています。くも膜と硬膜の間にある小さな動脈にこぶ(動脈瘤)があると、急に血圧が変動したときに動脈瘤が破れて出血(脳動脈瘤破裂)し、膜と膜の間にあふれた血液が脳全体を圧迫します。頭全体が割れるように激しい激痛が走り、吐き気や嘔吐をともない、激しい場合は意識障害を起こします。

重症化の場合、急死にいたることもあります。ただ、重症例以外は一時的で、元に戻るケースも多く繰り返すようですと再度、くも膜下出血を引き起こす可能性がありますので、専門医の診断を受けるべきです。

くも膜下出血は、高齢者だけでなく20代、30代と比較的若い人にも起こります。極度のストレスや排便中、過度の仕事をしたときなど、急な血圧の変動をしたときに発症するケースが多くみられます。