「脳腫瘍」とは
脳腫瘍とは、「脳のがん」と言われています。脳や脳をとりまく組織にできる腫瘍の総称で、複数のタイプがあります。2000年に国際保健機構(WHO)から発表された分類では脳腫瘍の種類は実に130種類にも上がっています。
原発性脳腫瘍
原発性腫瘍は頭蓋骨の中の組織から発生する腫瘍であり、良性腫瘍を悪性腫瘍がほぼ半分ずつです。
良性の原発性脳腫瘍は他の部位に転移することが無く、成長の速度が緩徐で、手術で治療し、完治が期待できます。脳腫瘍の40%~45%程度を占め、代表的なものとして髄膜腫(ずいまくしゅ)、神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)、下垂体腺腫(かすいたいせんしゅ)などがあります。
悪性の原発性脳腫瘍は、神経系を構成しない神経膠細胞(しんけいこうさいぼう)からの腫瘍が多く、神経膠腫(グリオーマ)と言われています。
このグリオーマにもいくつもの種類があります。なかでも神経膠芽腫(しんけいこうがしゅ)と呼ばれるものは増殖のスピードが早く、症状が現れて数ヶ月で危険な状態に陥る場合もあります。しかし、この場合も早期に治療を開始し、手術で腫瘍を切除できれば、その後の経過は比較的良好です。
転移性脳腫瘍
転移性脳腫瘍は他臓器のがん(原発巣)が血管内を血液の流れよって脳に運ばれてきたり(血行性転移)、周辺の組織から直接浸潤して、脳内に転移したものを言います。転移したものですから、全て悪性腫瘍です。
転移性脳腫瘍の原発がんとしては肺がんが最も多く(50%)、次いで乳がん(12%)、消化器がん(10%)の順番です。また悪性黒色腫も脳に転移しやすいがんと知られています。肺がん以外の場合も肺に転移してから脳に転移していきます。いずれせよすべての「がん」が脳に転移する可能性があります。